大学卒論は「学校給食」!
- Toru Takahashi
- 2023年7月7日
- 読了時間: 3分

上の写真をご覧ください。給食に、カレーライスが出て、ゆで卵、春雨サラダ、キウイフルーツが添えられています。コップには、牛乳でしょうか。よく観察してみると、何か不自然なところが、明らかになってきます。
スプーンが、小さいのに気づかれた方も、多いかと思います。幼児用の給食なのです。お盆は、ちょうどA4サイズ。時刻は、午前10時30分頃。私の役割だった「検食」、つまり毒見用なのでした。食べた後に「検食簿」に評価を書くのですが、「おいしくいただきました」という常套句の後は、全て誉め言葉でした。
中学校勤務の残り数年間も、同様の役割を務めていました。4校時の授業がある日は、大急ぎで職務を果たしていました。検食簿記入も含めて、5分間のタイムリミットをこなしたものです。あっという間に、ベルトの穴を次々とゆるませることになりました。
前置きは、このぐらいにして、私の卒業論文は「秋田県由利郡仁賀保町における学校給食の変遷に関する考察」でした。ウソのような本当の話ですが、これには、情けない言い訳があるのです。
2年生の終わり頃、所属ゼミを決めなければならなくなりました。私は、バイトに明け暮れていて、大学とは少し疎遠になっていました。後から聞いた話では、マスコミ系の就職にコネがある先生に、希望者が集中したとか。結局、希望者が少なかったゼミに割り当てられました。助教授の先生の教育史のゼミでした。
研究したい分野もないので、困りました。先生から、まだ手を付けられていない分野を紹介されました。呆れ顔で「鉛筆、机椅子、給食」の三択と話され、「給食」を選んだということです。先生とは、その後、河川敷ゴルフ場に行くという付き合いになりました。
また、参考文献を調べていただき、東大の図書館で一冊だけ借りることになりました。そして、安田講堂地下の学食にて、絶品のビーフ・ストロガノフを食しました。世の中には、こんなに旨いものがあるのかと、驚きました。ただし、学食日本一は、母校の学食です。一般人歓迎ですので、ぜひどうぞ。
論文の概要は、今では笑って誤魔化すしかありません。参考文献で、「ララ物資」を知りました。敗戦国の日本が、アメリカから貰っていた食材のことです。大量の小麦粉とスキムミルクで、本当は家畜のエサにする物だったのでした。なぜ昔の給食は、ボソボソしたコッペパンが多かったかが、これで明らかになりました。
そして、本論は、自校式給食とセンター式給食を比較するという内容でした。両方を経験済みの学校栄養士さんのインタビューをして、2つの方式の給食をいただくという、陳腐な内容です。当然のことながら、車で各校に輸送するセンター式の方が、デメリットを抱えていることを確認した次第です。
そして、結論は単純で、自校式の方が美味しいという内容を膨らませられるだけ膨らませて規定枚数まで書きましたもちろん、大学指定原稿用紙に手書きです。修正液だらけの一冊が、出来上がり、何とか卒業することが、できました。指導担当の酒井先生と栄養士の方にいただいたご恩は、一生忘れません。
学校給食や学生食堂、そして社員食堂は、実にありがたい存在です。今、自校式給食がなくなりつつあります。その良さは、大鍋と格闘されている調理員さんたちが、生み出していると思います。
最後に勤めた学校のカレーライスを一例とします。まさに絶品でした。どうやら、調理員さんの発明だそうで、極秘事項として、教えてもらえませんでした。最近は、食育が重視されています。私には、「愛情の匙加減」という表現に聞こえます。だから、栄養たっぷりの美味しい給食になっていると、信じます。
では、卒論の証拠を示して、本稿の終わりにします。昭和60年に書いた受領証一枚が、アルバムにありました。

※下手な字で失礼します。〆切日時に滑り込みセーフでした。あら、恥ずかしや。
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