パソコン今昔物語

　昨年秋、カウンセリング&心理療法を仕事にしようと心に決めた時、まずは自分を知っていただくため、何か営業活動をしなければと思いました。あれこれ考えた結果、まずは事務所のホームページを作成することにしました。

　無料で作成できる某社のテンプレートを利用することで、素人っぽさを消し去ろうとしましたが、やっとこの程度なので、いろいろとご不便をおかけしています。また、当事務所のネーミングですが、妙に格好つけた名前にせず、地域の皆様の中に浸透できるような「カウンセリング本荘」という平々凡々な屋号にしました。

　ホームページの大枠から細部に至るまで、自宅のパソコンで作りました。インターネット検索をしたり、YouTubeなどを見ながら、根気良く取り組みました。業界用語の意味不明な嵐をくぐり抜け、YouTuberたちの早口に耐えて、なんとか完成にこぎつけました。そして、記載内容を更新したり、ブログページにエッセイを書き綴ったりしています。さて、そんなITオヤジにも、実は苦い過去があるのです。

　ワープロ世代の私は、日本語はローマ字で打つものではないという妙なこだわりから、「カナ漢字入力」にこだわり、今まで仕事を続けてきました。また、国語担当ゆえに横書きを忌み嫌い、縦型ディスプレイのワープロを買うなど頑固者そのものでした。しかし、パソコンが主流となってから、ワガママも通用しなくなって途方に暮れてしまったこともありました。

　しかし、今となっては、ローマ字入力に慣れて、この文章もiPhone で打っています。ただし誰も使わないとされる、パソコンキーボード形式です。画面上に並ぶ粒の小さいキーボードを人差し指のみで入力する、巧みな(？)技を体得しています。例の片手親指入力は、全くできません。ですから、「歩きスマホ」などの曲芸技なんて、到底できるはずもありません。

　パソコンは、Windowsが出る前のMS-DOSの頃から、一応使っていました。ハードディスクがない機械の場合、そのOSを起動する方法は、フロッピーディスク(1.024MB)をセットしてから白黒の初期画面が出るまで、かなりの時間を要しました。記録媒体なども、フロッピー１枚の時代から、今やGB(1024MB)なんて当たり前になり、物によっては、TB(1024GB)も珍しくなくなりました。また、HDD→SSDの速度の著しい違いには、驚くばかりです。

　先に述べたフロッピー１枚で起動するノートパソコンは、NEC社の「N」という機種でしたが、その頃から３０年余が過ぎました。当時のパソコンは、単なる事務用品であり、今のような面白さなど皆無でした。マスメディアは、テレビ、ラジオ以外は、紙媒体でした。今のスマホなど、想像を絶する夢の機械でした。

　当時、テレビ以外で見て楽しむのは、レンタルビデオ店から借りてきたVHSのデカいビデオカセットでした。今はスマホやBluetoothの進歩により、DVDすら必要感が薄れています。今更ながら、この業界の技術改革のスピードに、ただただ驚いています。素人が、無料で自分のホームページを作ることができて、YouTubeを駆使して自分の番組を作ることができる、まさに"発信"の時代になりました。「21世紀になったんだなあ」と、感服することばかりです。

　さて、「フロッピーディスク」、「VHS」に「カセットテープ」をご存知でしょうか？そして、CDが出て来る前の「LPレコード」が奏でる音楽を聞いたことがあるでしょうか？若い人との会話で話題にすると、まるで外国語を聞いているような表情をされることも、多くなってきています。では、次のような話をすると、どんなリアクションをされることでしょう。

　今は昔。1981年のお話です。大学の一般教養科目で「コンピューター演習」を選びました。「PL 1」という黎明期の大型コンピュータを扱いました。ここで出された最初の課題は、なんと「１＋１＝」でした。しかし、この簡単極まりない課題に苦しむことになるのです。

　プログラミングの材料は、穴開け用紙。これに、課題のコマンドの穴を開けて、コンピューターを通過させると演算過程と結果がプリントアウトされてきます。ナメてかかったら、何度もプログラミング・エラーを繰り返し、履修評価は「不可」でした。つまり、単位を落としたのです。コンピューターは融通が効かない。自分の努力不足を棚に上げて、そう思いました。

　今年は2023年ですから、あれから42年もの時が過ぎ去りました。その間、パソコンを味方にするまで根気強い努力を続けてきました。例えば、仕事でExcelを攻略するのに１年もかかったりと、歯を食いしばる場面も多かったと記憶しています。しかし、今やパソコンは味方であり、忠実な家来でもあります。

　さて、唐突ですが“Chat Gpt"をご存知でしょうか？これからは、AIが「あなたの人生の副操縦士になる」時代になるのだとか。YouTubeで得た生半可な知識ゆえ、あまり詳しくは知りませんが、難しいことも、AIが代わりに考えてくれるようになり、ますます人間は楽(？)できるそうです。どうやらコンピュータは、これからも進歩を止めることがないようですね。

　パソコンについて、思いつくがままに語らせていただきました。掲げた命題は「今は、昔より幸せな世になっているか」でした。「経験則では誰にも負けない自信過剰症候群」である私の考えは、どちらでしょうか？

　答えは「YES」です。ただし、コンピュータは、遊びや仕事に留まらず、夢を叶える「ドラえもんのポケット」的な存在であるべきだと思います。また、自分のためより人のために、そして広く社会の未来のために使うツールであって欲しいと思う次第です。どうか、便利さを悪用などしないよう願うばかりです。

追記：一度お蔵入りさせて推敲してみたもののこんな低レベルから脱却できず、やむなく公開に至りました。その主な原因は、度々論理が飛躍し、話が横道に外れるなど、一貫性に欠けているところです。Chat Gpt でもあればいいな思うところです。これでも昔は、歯切れのいい文章だと褒められたこともあったのですが......。

語呂合わせは面白い！？

麻雀用語で「トマト」と「新聞紙」は、同じです。さあ、何のことでしょう？ヒントは、捨て牌の並びといったところ。だいたい、ヤケになって発する言葉で、他の３人は、冷笑します。答えを知りたい方は、経験者に聞いてください。「シンブンシ」も「トマト」も右から見ても、左から見ても同じ。だから捨て牌の並びが.....。以上、後は申しません。

　学生時代は、主な出入口は西門でした。地下鉄の表参道駅の方向ですが、門を出たところに格安の雀荘があったからです。いつも、満員御礼でした。つまり、授業は「代返」なわけで、私は全カラーの出席票を持っていました。先生ごとに微妙に違っていたのです。先輩からの、貴重なプレゼントでした。使い残しと追加分は後輩へ。どこの大学でも、あることでしょう。

　時には、少しだけ高い雀荘で徹夜麻雀(テツマン)をしました。例の「シンブンシ」「トマト」は、朝方に出ることが多かったと記憶しています。疲れは、そんなバカバカしい発言でも、意味のない笑いが伝染します。

　「箸が転がっても可笑しい」状態は、若い娘さんたちの特権にあらず。徹夜麻雀で夜明けになって、全員がそのようなナチュラル・ハイ状態になるのは、やってみないとわかりません。この状態は、心理学の研究対象にすべきだと、いつも思ってました。しかし、その研究成果は何の役にも立ちませんね。今名付けると、「小集団的無意識」だと考えると言うと、ユングや河合隼雄先生に、叱られることでしょう。

　閑話休題。前置きが、やたらと長くなって失礼しました。標題の「語呂合わせ」に戻りましょうか。まず、町を走っている車のナンバーが気になります。思えば随分前から、希望ナンバー制になっています。自分の好きなナンバーにできるというので私も平成８年に買った車から取り入れています。何となくカッコいいからという浅はかな理由で申し込みましたが、思い返してみると、実に恥ずかしいです。

　買った車は、真紅のVOLVO ８５０Rエステート。ステーションワゴンの形をしたレース仕様で、Rというネーミングが付きました。ですから、ナンバーは「・850」にしました。それを見た仲間たちが、「・」を指差して、ハナクソナンバーとからかいました。

　その後、羽田空港からバスに乗っていると、メルセデス・ベンツの最上級セダンSクラスが「53-53」という希望ナンバーを付けているのを見ました。金持ちにとっては、５３なんでしょう。反面、こちらでは「77-77」、「・777」

なんてナンバーが数多く、「・・・１」には、失笑します。その人の気性丸出しです。

　さて、今の愛車は「私の誕生年-妻の誕生年」という希望ナンバーにしています。これまた、妻に皮肉を言われました。そんなことをしないで、ランダムな数字の方がいいと、この頃は反省しつつ、恥ずかしく思っています。

　話題転換。私は、大学入試の受験勉強で「試験に出る英単語」は、手に負えませんでた。そこで同じ青春出版社の「語呂合わせで覚える英単語」を愛用しました。今もはっきりと覚えているが“discipline”という単語です。「ディシプリン」と読み「訓練する」という意味です。この本での語呂合わせは、ちょっと無理があって「弟子プリンプリンと怒るまで訓練する」という意味でした。これこそ、１９７０年代の知識です。語呂合わせは偉大です。４０年も前の記憶ですよ！何の勉強も、語呂合わせでした。

　結局、語呂合わせの知識では、ミーハー大学にしか行けませんでしたが、ここでは、数字のいたずらがありました。学生番号が、11281128だったのです。順に言うと、1=一部（夜間部の反対の昼間部）、次の1=文学部、2=教育学科、更に、81=1981年入学、128=出席番号。何と言う偶然かと、驚くばかりでした。

　更なる偶然は、新潟県教員採用試験の受験番号が、「中学国語128」だった時、ちょっと寒気がしました。どうやら、私のラッキーナンバーは、１と２と８の組み合わせなのでした。語呂合わせとは、話がズレましたが、ユングの言う共時性(シンクロニシティ)そのものです。科学での解明は、到底不可能な偶然です。

　語呂合わせは、まあ言葉遊びとして考えるとなかなか面白いものです。しかし、それが人の心を傷つける場合は、控えるべきでしょう。最後に、今はもう笑い話になった私の苦い経験をひとつ紹介しましょう。

　現役での大学入試に全員不合格になった後の学級担任との面談場面です。なお、標準語訳でお届けします。

M先生「君は、亨という名前なのに、どこも通らなかったじゃないか。何をしているんだ」

私「........。」（心のつぶやき：好きで、この名前になったんじゃないのに）さすがにグサリと来て、黙って時が過ぎるのを待っていました。そして、悔しさと同時に、秋田県退避を決心した瞬間でした。

　あだ名も語呂合わせも、良し悪しですね。お互い、気をつけたいものです。

給料あれこれ

　３７年間、サラリーマンでした。その前の学生時代は、いろいろなバイトをしました。金銭面で最大の収入は、確か２年生の８月に２５万円ほど稼いだ記憶があります。渋谷センター街のお好み焼き「こけし」の厨房。注文されたお好み焼の焼く前の状態と８個並んだ釜飯を炊いて出すのが役目でした。

　当時の教員初任給が、一番高い神奈川でも１６万。秋田は、１０万そこそこでした。ですから、凄い収入でした。１日１２時間労働で、３０日間休みなしでした。

　就職しても、銀行振込なんてあり得ず、袋に入った現金を受け取る方式でした。忘れもしない、新卒の初任給。受け取ったら、空の封筒のように軽かったのでした。なぜか硬貨は入っていない札束？が入っていました。昭和６０年、もらった初任給の手取りは、きっかり９万円！立ち尽くした私が、そこにいました。

　当時、長岡市内のボロアパート代+光熱費等で３万円、ボロ中古車のローンが３万円、残りは３万円。1500人超のマンモス校では給食の実施はできないそうで、生徒は弁当持参、職員は弁当がない時には、仕出し屋の弁当を500円で注文。残金３万円にとって高嶺の花でした。また、45人の学級で、毎日必ず弁当を忘れた？生徒がいて、学校隣のパン屋さんで買い与えていました。その代金は、１円たりとも戻ってきませんでした。

　３万円で１ヶ月を乗り切るのは、浪人時代に東京で経験済でした。食わなければいいのですが、激務の中で同じ生活は無理でした。単純計算で１日1,000円での暮らしを３年間、ジーパン刑事の「なんじゃこりゃ！」でした。

　腹減って、腹ばいに寝てやり過ごすのが給料前。身長１８０㎝、体重63㎏(標準体重は72㎏)で、マッチ棒のような風采でした。正直、飢えていました。しかし、親に泣きつくことは、ありませんでした。社会人として独立をしなければという、信念？があったからです。

　今になっては、よく生きていたと思うばかりです。凄まじいQOLでした。公務員は、副職厳禁で、バイトもダメです。「金は天下の回りもの」という言葉の圏外に何年暮らしたかな？今となっては武勇伝に近いものがあります。

　平成２年に秋田県に戻ってきて、給料手取りは17万円ぐらいでした。そのうちの10万円を家に入れて、残りで３日おきの飲み会にですという優雅な？生活がスタートしました。それからの４年間は実家暮らしをしました。

　今、ハローワークに行くと、このぐらいの求人は多いようです。1990年と2023年に変わりなし。しかし、貨幣価値は大きく違います。バブル崩壊後の日本経済は、衰退の一途を歩んできました。秋田に戻った当初は、飲み会の二次会で「ガッコの先生はビンボーだから払わなくていい」と言われ、その後は「先生は給料がいいからな」と言われてばかり。

　話が違うと言いたくなる場面が多いのです。公立学校の教員は、地方公務員です。ただし、給特法という古い法律で4%だけプラス。まあ数千円ぐらいです。それを支払う代わりに残業代ゼロ。つまり、プラスの収入源は皆無なのです。

　当初は、週休二日制など夢物語。土曜日は、午前中で放課の半ドン。午後から部活動指導。そして日曜日は、必ず練習試合が義務づけられ、6：30集合の17：00過ぎに解散。夏休みの最初の日曜日が、やっと休日となりました。当時、わずかな手当もありませんでした。

　わずか３万円が命綱。文句や愚痴は垂れたことなし。この教育公務員は、いずれ２馬力になり、５人家族の大黒柱になります。今だに高倉健の「男は黙って......。」のCMが好きです。

　あなたは、どう感じますか？