top of page

隣の芝生はとことん青い


 途中まで書いて、もう2ヶ月以上も過ぎてしまいました。敢えて今、公開します。自分で付けたタイトルを捨てるのが惜しいからです。まあ、大したタイトルではありませんが。

 

 まだ暑さが残っていた9/9(土)、今年度3回目の学校心理士北東北支部研修会に参加してきました。会場は、1927年に竣工した岩手県公会堂。国の登録有形文化財になっています。岩手県庁や盛岡市役所のある大通りに面して、ご覧のように威風堂々とした建築物です。


 建物の左側には、銅像がありました。説明を読むと、平民宰相 原敬の出身地だとか。岩手県は、卓越した人物を輩出していると、感心しました。「土地柄」という言葉が、浮かんできました。今は、大リーグの大谷翔平選手など、時代を問わず、「ピカイチ」の人物が出る地域のようです。


 研修会は、2階の大会議室で行われました。設置されていた合板の長机やパイプ椅子が、場違いな印象を与えるほど、クラシックな内装が独特の雰囲気をもっていました。研修会は、文科省の読めないほど細かい通知類の読み上げが多くて、途中で居眠りする人もいました。


 建築やインテリアに興味津々の私は、壁に彫り込まれたロゴのような模様を見入ったり、この机椅子をアンティークにしたらどうだろうと考えたり、100年前の県議会の様子を想像したりと、お勉強には身が入りませんでした。


 秋田県は、見栄っ張りな県民性で新し物好きです。こういうお宝建築を大切に扱うという気質など、美的感覚的にも経済的にもありません。その上、ダイナミックな発想に乏しいのです。秋田駅横の「アルヴェ」と盛岡駅正面の「アイーナ」では、月とスッポンというところでしょうか。スケール感というか。ゆったり感が、全く違うのです。隣の県に対して、秋田県人独特の劣等感を抱くのは、私独特の感覚ではなく、県民性と言えるでしょう。


 岩手県公会堂のような文化財に指定されるような建築物を丁寧に修復しつつ、一般に利用を許可するという考え方は、カッコいいと思います。遺跡だと思っていたら、そこには生活があったというヨーロッパの文化に似ています。いくら古くても使うことに価値があるという、合理的かつ心豊かな考え方が、そこにあります。隣の県なのに、なぜここまで文化水準に大差を空けれれているのでしょう。


 それはさておき、建築に関しては、幼い頃から興味がありました。何もない空間に建物を出現させるというのは、幼い感性を通すと、大工さんたちが、何か魔法でも使っているように思えたものです。


 小学生の頃になると、棟上式の話を聞きつけると、何kmも先まで行って、遥か上からばら撒かれるお餅やお金を我が物にしようと群がる集団の中にいました。掛け声を出してばら撒く施主さんか棟梁さんを見て、そのカッコ良さにうっとりと惹かれていたものです。


 大人になったら、自分もそうなりたいと思っていました。しかし、算数の九九ができず(未だに7の段から怪しいのです)、釘打ちも下手だった(方言にて、手ボケと言います)ので、早々と諦めました。しかし、今でも自分のやった結果が残る建築の仕事には、憧れたままです。


 ユングのタイプ論的に言うと、外向型は人を相手に、内向型はモノを相手にする仕事が向いているようです。私は、内向型ですが、外向型の特質が30%近くある、人とのコミュニケーションを好む気質もあります。ですから、コツコツと根気よく作業に取り組むことを好みますが、時々は雑談を交わすような環境もあったら好みの働く空間になります。


 今度、別の人生を歩むことになったら、算数を一生懸命勉強して建築設計の仕事に就きたいと思っています。教員は、今回だけでもう十分。仕事の結果が、目に見える建築物だと、大きな達成感を得られることでしょう。ワクワクします。外国では、街で屋根の色を統一しているのを、よく見ます。そうした景色を眺めるのも、また一興です。また、有名な建築家の作品を見るのも好きです。また、家の近所で内覧会があると、必ず見に行きます。


 自分の家は、人生で二度建てるべしと言われています。かつては、夫婦と子ども3人に、犬1匹の住人がいました。しかし今は、夫婦に大学生の娘ににヨボヨボ犬1匹に縮小しました。これが、夫婦とヨボ1匹になり、そして1人暮らしになっていくのは、遠い未来ではなくなりました。人生二度目の家ならば、温暖な地に別荘なんていいでしょうね。


 夏場はこちらで、冬場は太平洋側の家と季節毎に移動している人がいて、実に羨ましく思っています。しかし、経済事情は、そんな贅沢を許してはくれません。ここに家を建てると決めた所で、一生を終えることでしょう。


 そこで、建築物が鑑賞の対象になるのです。その対象は、神社仏閣類からスタートして、個人の住宅まで様々です。昔は、鉄道の駅前に凝ったことがありました。特に、私鉄の駅前に続いている商店街。「〜銀座」というようなニックネームの場所は、歩く価値ありです。確か「戸越銀座」が、ナイスな場所だったことを思い出します。 


 また、今は「表参道ヒルズ」になってしまった、同潤会青山アパートと神宮表参道の並木の趣ある連なりなんて、たまりません。高層ビルは、見上げて「高っけー!」とびっくりして終了です。興味はもてず、驚くだけの対象です。


 駅前には主として商店街、住宅街、公園がセットになって、駅前に、ひとつの文化が生まれます。西武新宿線の下井草ー渋谷の定期券を持っていた頃は、理由なく途中駅で下車して、その駅前に広がる風情を面白がったものです。


 東京は、凹凸の大きい土地です。これが、独特の雰囲気を醸し出します。これが平坦地だと台無しです。渋谷などいい例です。スクランブル交差点のある場所は、道玄坂や宮益坂の終点で、谷底になります。ですから、どちらに行くにも、急坂を上ることになります。


 しかし、この段差こそが、愛でる価値ありなのです。何となく、だだっ広い土地に、魅力を感じたことはありません。今、住んでいる土地も、何となく平らで、面白みがありません。今まで行った中で、最も強烈な印象を受けたのは「尾道」です。急斜面に張り付くように、家が建てられています。クルマなんて通る余裕などありません。それに加えて瀬戸内海の情緒いっぱいで、たまりません。


 殺風景な秋田の空が続く冬になりました。低い空の下、意味のわからぬ拡幅工事で通過するだけの街並みに成り果てています。隣の芝生はたまらなく青く見えるのは、こちらの芝生が貧相だからです。支離滅裂な文章になってしまいましたが、やはり文化のない土地に、心の潤いは得られないのでした。


 県庁所在地である秋田市の人口が、30万人を下回ったそうです。今、住んでいる場所は、「限界集落」ならぬ「限界県」へと向かいつつあるように思います。それでも、私たち世代が生きている間は、何とかなるでしょう。次の世代は、夢も希望もない、首都東京から果てしなく遠い、日本のチベットになることでしょう。


 暗い話を語ってしまいました。未来のために何ができるか。そんなことを思っている人が増えていけばいいなと、ぼんやり考える日々を送っています。つまらぬ話で失礼しました。




 




 

 

Comments


015-0864

秋田県由利本荘市大鍬町 117-2

 

学校心理士

​健康経営アドバイザー

髙  橋     

  お問い合わせは、私から私へメールを送ります。バレません、チャットもバレませんので、ご心配なく。なお、プロフィールはパスワードが必要です。ご質問があったり、こんな私の個人情報を知りたいという方は、チャットか「お問い合わせ」ページで、お尋ねください。

  • フェイスブック

note

©️2022 Toru Takahashi.All Rights Reserved.
bottom of page